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「ちいきのちから」
池上の閑静な住宅街に自宅を改装して作られた貸し施設がある。
和室1室から菓子製造ができるキッチン、カフェスペースなど様々な利用が可能な空間がある。
2018年の9月に3周年を迎えた「一軒家の隠れ家レンタルスペースまなび舎教(NORI)」の活動と経緯と思いを主催の佐々木弥生さんに伺った。
(取材・文=中山良恵)
●みんなの学びに役立てる場所
元々は木造2階建ての1階部分を佐々木さんのご両親、2階部分を佐々木さん家族が暮らす二世帯住宅だった。
ご両親がなくなり、しばらくの間そのままにしていたが、次第にこの場所で何かできないかと考えるようになったという。
「保育所や民泊、デイサービスなど色々考えたけど、せっかくだから、私も利用できる場所にしたいと思って。」
長年、洋裁の仕事をしてきた佐々木さんは、現在も自宅でウエディングドレスの制作をしている。
その技術を活かして、自ら洋裁や手芸教室をしながら、他の人たちも自由に使える場所にしたらどうかと考えたという。
そして多くの人の学びに役立てるために、1階部分を大幅リフォーム。
「趣味の世界を伝える」、「日本の伝統を伝える」場所として2015年9月13日に同施設をオープンした。
洋室と和室が2部屋ずつ、4つの部屋がレンタルスペース。
和室の1室は独立しており、他3部屋はひと続きにして広く使うことができる。
各室平日は1時間1200円から休日は1500円から利用可能。
洋室にはキッチンを付属して使用できる。
「菓子製造許可」を取得しているので、販売できる商品を製造することも可能だ。
これまでにヨガやお菓子作り、編み物教室を開催。
また、企業の会議での利用、テレビ撮影時の休憩場所としての利用など、ウェブサイトからの申し込みも多く、要望に臨機応変に対応している。
遠くは韓国から申し込みがり、韓国伝統菓子ソルギ作りの講座で利用。
沖縄から受講に来る方もいたという。
また、庭に面した縁側付きの和室は茶道の形式に則った仕様になっており、本格的な茶道を楽しむことができる。
茶道や華道、着物一式も貸し出し、日本の伝統を伝える空間も完備。
「今後は日本の伝統を伝えることに力を入れていきたい」と佐々木さん。
和室利用のアイデアを考案中だ。
趣味と伝統を楽しむみんなの学び舎
●手作りの温かさに囲まれて
「自分で作ること、手作りの物を大事にしたい」と佐々木さん。
ギャラリーにも使用できるよう一面をブルーに塗装したこだわりの壁には季節の小物が並ぶ。
室内に飾られた小物から、手作りすることを楽しむ佐々木さんの思いが伝わってくる。
レンタルスペースの利用のない日の午後には「おうちカフェ」を営業。
コーヒー、紅茶、抹茶をお菓子付きでいただくことができる。
このカフェ営業中には、1時間500円でミシンを利用することが可能。
佐々木さんの指導を受けながら、自分の好きなものを作ることができる。
年配の男性が雑巾を縫いに来たことや、洋服の材料一式を持参し仕上げる女性もいたという。
「一人で来てもみんな同じテーブルに座っちゃう。それで私が話しかけちゃうんだけどね」と佐々木さんは笑う。
話すうちにこの人とこの人が一緒に何かできたら楽しいと思って声をかけて始めたイベントが奇数月に開催されるNORI倶楽部*。
クリエーターが主催となって自分の得意とすることや、手作り大好きの人たちが集まり手作り品を販売やワークショップを行なっている。
また、偶数月の第三日曜日には同施設主催のフリーマーケットを開催。
手作り販売や体験などを行い地域の人が気軽に来られるイベントを行なっている。
「家で一人で作ることもいいけど、ここに来たら何か発見があるよっていう場所でありたい」と佐々木さん。
これまでにマリンバや二胡の演奏ライブや夏休みには子供対象の宿題大作戦などたくさんのアイデアを形にして来た。
来る人たちを繋ぎ、柔軟な発想力で様々な学びに対応する同施設の活動に注目していきたい。
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